7月4日(日)夜22時45分~90分間、ハイビジョン特集『北京芸術村から20年「衝動」』
が放映されます。「中国の現代アートがおもしろい」などと、どこかの雑誌みたいに上っ面の現状を追うのではなく、作家の個人や作家性に踏み込んだノンナレーションによる挑戦的な作品です。ディレクターは『麦客』という有名な作品を手掛けた佐野岳士さんです。ぼくも片隅に名前を入れてもらえました。ありがとうございます。
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表題は20年とありますが、99年に画家村の本を出したぼくにとっては「あれから10年」との感慨がよぎります。この番組でも王慶松、徐一暉、宋永紅の人生はまさに番組が描くように好対照を成しています。かく言うぼくや、中国もあの頃想像していたものと大きく異なります。中国と関わるものにとり90年代末期から2010年にかけての変化は特筆物だと言えます。
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変化をとらえ続けたものとして中国を扱った日本のテレビ番組は活字に負けないものだと言えます。
上で挙げた佐野さんをはじめ、中国を得意とする数多くのディレクターやプロデューサーが活躍しており、視聴率の問題だけでなく、作り手たちの意識が、たとえば彼らが微妙に近しい関係で互いに意識し合っている意味で活字メディアより有力かもしれません(活字メディアが一部の担い手が出版社の徒僕になりがちで、だらしないのでしょう)。中国物は何と言っても取材が大変ですから活字だけでなく映像の世界でも専門化しやすいのです。
最近では70年代生まれの作り手の台頭も目立ちます。
同じく4日、13時~14時半、BS2にて、ドキュメンタリーシンポジウムに米本直樹君が出演。彼は中国業界関係者の間でも話題になった四川地震のドキュメンタリーを立て続けに発表した若手ディレクターです。
また6月20日にETV特集 で放映された『中国残留孤児 夫たちの歳月』も3年にわたる取材で完成した作品。中心になったアジアンコンプレックスの佐藤充則・平野愛はぼくよりも年下の若手製作者ですが、数々の中国取材を手掛ける中で長年戦争問題に取り組んでいます。拙作でも紹介しましたが、中国の民間やら市民社会を考える上で戦争問題は実は古くて新しい問題・ファクターであり、その意味でも2人の活動に注目しています。
そして、アジアンコンプレックスには中国コーディネーターの第一人者、プロ中のプロと言うべき大谷龍司さんもいたりとなにかと刺激的な場です。
今後とも注目していきたいですし勉強したいです。