北海道新聞13日朝刊文化面で『「移民列島」ニッポン 〔多文化共生社会に生きる〕』(藤巻秀樹著、藤原書店)の書評を書きました。
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以下は昨年夏に日中市民交流対話プロジェクトで招いた陸軍さんが運営する北京益仁平中心の近況を記したものです。これからも継続して彼らの活動を取り上げていきます。
(以下、留学生の楊卓君が書いてます)。
北京益仁平中心の訴訟が2012年度中国で最大の影響力を与えた十大訴訟に選定された。
皆さんご存知の通り、今週に入り、「南方週末」の記者たちは言論の自由のため中国共産党への抗議活動を始めた。「南方週末」を応援する市民の活動も、広州から北京、全国にまで広まり、最後に広州政府が負けて検閲中止になった次第である。今週号の「南方週末」も共産党の審査無しで出版した。その「南方週末」では、今週、2012年度、中国最も影響力を持つ十大訴訟を選出した。そこに北京益仁平中心でインターンをしていた劉艷峰さんが行った訴訟も選ばれた。
それは、昨年の8月、中国陝西省の延安(エンアン)で交通事故である。タンクローリーに寝台バスが追突して炎上し、36名もの死者も出した件だ。しかし、この事故の現場ではニヤニヤ笑った陝西省の官僚がいた。陝西省安全監督局の楊達才という局長。こんな大惨事で笑っているこの局長の写真が、中国中のインターネットで広がった。そして、公開された写真から、あるネット利用者が、同局長が高級時計を身につけていると気付き、ネットで大捜索が始まり、同局長に関する写真が掘り出され、これまでに5個の時計を使っていたことが判明した。ロレックス、オメガ、ブルガリ、モンブラン、ロンジン・・・どれも月給が高くても9千元(約11万円)の局長には簡単に買えない品々ばかり。汚職疑惑を指摘する声に対し、同局長は「ここ10年間、確かに5個の時計を買った。いずれも自分の収入で買ったもの。息子も時計好きで、交互に使用している」とあっさりと認めた。
そこで、2012年9月1日、北京益仁平中心でインターンしていた大学三年生の劉艷峰さんは、「政府情報公開条例」に基づいて、陝西省の財務庁に対して、この楊達才局長の給料を公表するように求めたが、拒否された結果になった。陝西省政府の行動は、明らかに法律違反だと判断して、劉艷峰さんは陝西省政府を裁判所で告訴した。この訴訟は、全く相手にされなかったが、非常に有意義な行動だった。
中国で最も影響力を与えた十大訴訟に選ばれた理由に、「官僚の給料を公表してもらいたいのは、一人の官僚に対するものだけでなく、現体制への挑戦だ」と述べた。さらに注目すべき点は、この訴訟を提出したのは、90年代生まれの大学生であり、中国の若者の成長を表しているとも言えることだ。
記事の提供:中国人留学生 楊卓(元北京益仁平中心スタッフ)
※北京益仁平中心:反差別の権利保護の為に、B型肝炎の感染者、HIV感染者、女性差別、身体障害者、糖尿病の患者、鬱病の患者、色盲の人などへの不公平な差別をなくす活動を訴訟や政府へのはたらきかけなどを通して展開。