先に『論語』を探して、なかった話をしたが、『論語』に限らず中国古典が昔ほど売られていない印象を持つ。
昔あった文庫シリーズがなくなっていたり、岩波文庫の棚で一冊も中国古典が見当たらないことも珍しくはない。返本がきかない岩波文庫の場合、本がないということが売られていないためか、それともそこそこ売れてしまっているためなのかがよくわからないが、いずれにせよあまり売れていないのには違いない。
そして、コツコツと少しずつ、しかし確実に売れていくこのような本が置かれなくなる傾向にあるのか、それともこうした本が確実に売れなくなっている傾向にあるのか、そのどちらかなのかもしれない。
古典を題材にした新書などはあるのだろうが、そうした本と原典とはまた意味が違うように思う。
神保町や新宿に行けば見つかるだろうから困っているわけではないが、大きな書店でことごとく売られていないのを見るになんらかの傾向を思わざるを得ないのである。