このページの表題は「読むことと旅することと生きること」としてある(左上参照)。
五,七,五になっているが別に有名な句ではなく、ぼくの思い付きである。
ただ、語呂自体は思い付きなのだけど、こういうことは昔から考えてきた。
旅にさまざまな形があるように本の読み方もいろいろな愉しみがあるし、
そして、生き方にもマニュアル通りでないものがあってもよい。
あるいは、
本を読み返したり、年齢とともに読後感が変わったり、つまらないと思っていた字句がある条件の下で突如輝くことがあるように、
旅は旅で紆余曲折の繰り返しだし、生き方にも遅読、味読、精読があって然るべきであろう。
この三つをまったくの同次元のことと考えたい。
旅する時は読むように生きるように旅し、読む時は旅するように生きるように読み、生きる時は旅するように読むように生きること。
とは言うものの、
実際の現代社会でけっして容易でなく、とは言え、そのような試みをする者が一人でもいてもいいのではないか、
そんな考えからなかば実験的に自分の人生を作っていこうと思っている。
八十年代、ぼくにもさまざまな未来への空想や過去への愛着があったが、意志だとかそんなものとは関係なしに目先の進行方向につられ、高速度の列車に飛び乗り、空想だとか愛着だとかを石ころのように黙殺してしまった。
長い紆余曲折を経て遅れた青年として五年前に定住生活に戻ってから
八十年代を思い出すにつけて、
そのようなことを繰り返したくはないと思っている。