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今夜は眠れない。下記の理由でなく、腰が痛いため。
今回の選挙で最も注目した候補者は
尾辻かな子
だった。彼女はレズビアンであることを公言した元大阪府議で、民主党の比例代表に立候補した。民主党が圧勝した今回だったが、彼女は比例候補者の中では下位の38933票で、落選した。
比例代表の制度は衆議院とごっちゃになることもあってわかりにくい。参議院の比例代表では「民主党」「自民党」などと党名を書いてもいいし、「ツルネンマルティ」「舛添要一」のように候補者の氏名を書いてもよい。後者の場合は1票投じることで政党に1票、さらにその政党の中の候補者にも1票入れることになり、参議院の比例代表では「党名の票」+「氏名の票の政党」が党の得票数となって獲得議席が決まり、その議席数のぶんだけ氏名の票の多い順に当選していく。
少数意見がまかり通りにくくなる空気を選挙のたびに感じ、比例代表でも「なにがなんでも民主党」という考え方があるのは不思議でない。しかし党に入れようが個人に入れようがどちらも党の票になるのだとしたら、個人に投票する人がもう少し多くてもよさそうだ。ところが選挙前に阪神ファンの知り合いたちに85年戦士の長崎慶一(民主党比例区)に入れるかどうか尋ねたが、そもそも氏名を書く制度があることを知らなかったようで、党名だけを書く習慣に慣れていた人、あるいは氏名を書くと党への票にならないと考えた人が多かったのではないか。結果、党への票数に比べると個人の獲得票数があまりにも少なく、舛添要一のように人気の高い人ですら党への票数に比べ圧倒的に少ない票しか獲得していない。
ただし尾辻かな子の落選に関しては違う見方ができよう。すなわち彼女は同性愛者という特徴をはっきりと打ち出した候補者であり、同性愛に関心を持たない人が票を投じないことがごく自然である一方、同性愛者がもっと投票するのではないかと思っていた。ただでさえ民主党に有利な今回の選挙だから当選するのでないかと期待していた。けれども日本の同性愛者のうち彼女に投票した者が少数であったと結論付けざるを得ないほど獲得票数は少なかった。
原因は何なのだろうか。民主党への反発もしくは同性愛とは別の論点で選んだのか、もしくは民主党の他の候補の方が魅力的だったのか。しかしこれらは個々ではありうるにせよ、比例代表で「民主党」という票が最多(すなわちそれは民主党の特定の候補者への票が少なかったことでもある)であることからして、ない。となると、たんに投票に行かなかった、もしくは同性愛を国会で論じることが嫌だった、もしくは同性愛者だが尾辻は好きでない、などの要素が浮かんでくる。いずれにせよ同性愛者として生きる上で選挙で働きかけようという動きが進まなかったということなのだろう。
中国で理想の社会像を考える上で石頭をはじめ同性愛者や女性主義者から多大な刺激を受けてきた。バイタリティー溢れる尾辻かな子の在り方は中国での彼女ら・彼らに通じるものを感じるし、ひとえに同性愛にとどまらず新しい社会を切り開く力になることを夢見ている。その思いは今も変わらない。この結果を気にすることなく邁進してほしいと思う。