東京・赤坂のカナダ大使館地下1階「CITY CLUB OF TOKYO」で、昭和30年ぐらいの東京女子大卒業生たちを中心とした「華の会」に招いて頂き、「中国といかに向き合うか」のテーマで講演させてもらいました。実に温かく迎えてくださったことにとても感謝しております。
参加者はぼくの親の世代よりもさらに一回り上の淑女の方々ばかりで、頗る緊張しましたが、参加者に合わせた題材にするのではなく、あえてふだんよく書き・よく話す内容に終始しました。あらためて認識したことなのですが、この年代の方々はご自身もしくは周囲の人が中国(主に東北部)出身だったりして中国との縁や中国への皮膚感覚とでも言うべきものが予想以上にあり、また、ぼくが中国を語る際によく言う「民族性の違いでなく、日本が喪失した(もしくは喪失したと考えられた)がゆえのカルチャーギャップ」以前のカルチャー、すなわち喪失する以前の日本にあったカルチャー(たとえば友人観など)を備えてらっしゃる面が見受けられ、講演の後の質問の際にかなり具体的なやりとりができた点ではぼくの世代を相手にした同種の講演以上に話しやすかったほどで、また勉強にもなりました。話が通じるだろうか、などというのは全くの杞憂で、むしろぼくは今後若い人たちばかりでなく、戦前をよく知る人たちに話しかけることも大切なのではないか、さらに言えば、「郷愁を追うに過ぎない」と受け取られがちな彼女たちの戦前における中国体験から学べるものがまだまだたくさんあるのではないか、そのように思わされました。
それにしても、こういう場を余裕をもってこなし、気の利いたジョークとエスプリを含む巧みな話術をしたいのですが、なかなかできません。力が入りすぎたり、つっかえたりするのが自分でもよくわかります。まだまだ未熟すぎるということなのでしょう。上のことも含めて勉強です。