新著『反日、暴動、バブル 新聞・テレビが報じない中国』(光文社新書)が今日発売されます。04年から続けてきた北京を中心とした中国通いの成果をこれまでの軌跡に沿って書き下ろしたルポです。新書ですので目に付きやすいかと思いますので、ご一読下されば幸いです。
自分の感想はまた述べる機会があると思いますが、今浮かぶのはこの本が誕生するまで随分と時間がかかったことです。04年に取材を始めた頃、ぼくは新書も含めて書籍という形になるとは想像もしませんでした。その後、北京行きに伴って3つの媒体で連載が書けるようになり、比較的スムーズに中国滞在が可能になりました。次第に連載をしていた3つの出版社のいずれかから連載をまとめて1冊出せればいいと考えるようになりましたが、種々の事情でダメでした。
そんなわけで、ある程度分量を持つようになってから今度は出版社を探し始めましたが、この点も苦労しました。時期で言えば06年から07年にかけてでしょうか。普通、本の企画というのは、意図を話し、それがどれだけ世評と合致するかでなされると思いますが、世評と言うものが存在していなかったのでした。通常の書籍刊行がレールの上に列車を走らせることだとすれば、ないレールを作った上でそれに列車を走らせるのはそれはそれは面倒なことです。
取材を進めながら企画と書き下ろしを同時並行で進めてきましたが、その間、取材成果に対する認識も大きく変わっています。それは本書を読んでいただけたらと思います。
こうして1冊が出て、本当は今は休息でもして今後を考えたいのですが、そうもいかず、いろんなことをやりながら少しずつ今後を考えている次第です。今考えているのはこの本に書かれているようなこの5年間あまりの活動は流れに任せて今後も継続しつつ、それとは別に何かをやっていこうということです。星一徹ではありませんが、別の何かというのは、これまで活動してきた中で自覚的にもしくは無自覚に出会っていただろう何かです。
ともかく本書が出たのは光文社はもとより連載や単発記事や講演でお世話になった出版社はじめ関係者の方々、中国の関係者の方々、今まで声をかけてくださった多くの方々、それにブログの読者を含めたみなさんのおかげです。お礼を申し上げます。