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> ふる女性とフラれる女性・・・・くさい台詞の解説(1)
十代終わりの、懺悔とも感慨とも言える告白を綴っているが、アンラッキーセブンさんから「くさい台詞というよりも、自分(麻生さん自身)も何言ってるのか分からなくなってない? 」という非難(?)を頂戴した。「下」を書こうと思ったが、ひとまず措いておいて、どうせ「くさい台詞」ならそれを解説するという「さらにくさい邪道行為」をやってみようと思う。

 「ただ確実なのは、フルことが多い女性よりもフラれることが多い女性の方がもっと美しいよな」
 この話は全く噛み合っていない。なぜなら、ここで言う「ふる、フラれる」はあくまで男女が付き合ってからの話であって、昔の高校生がやりそうな「告白」の結果としての、ふる、フラれるを指しているわけではなく、したがってろくすっぽ男女関係がない高校出たての男女の会話としては成立していないし、そもそもYとはなんら関係がない。こういう抽象論を吐くところからしても、Yにのめりこみつつある作者がやがて玉砕するのは明白であろう。
 とは言え、抽象論は抽象論だが、若者でなくなった今にして思えば、「ふることが多い女性よりもフラれることが多い女性の方がもっと美しい」というのは経験的に納得せざるを得ない。あるいは美しければ美しいほど恋愛とは無縁だということも、同様に。「絶世の美女」だとか「ミスなんとか」に選ばれる女性の遍歴を見てもわかることかもしれぬが、ここで言いたいのはそういうことではない。あるいは違和感が生じるとすれば、それは「美しさ」の基準が違うということにおさまるのであって、だとすれば、かかるくさい台詞の真意は「ぼくが美しいと思う女性はこういう人だ」と言っているにすぎないのであろう(こんな言い方をするのは、実はこの会話は1986年4月に鎌倉高校近くの喫茶「あすなろ」で交わされたものを語尾だけ変えてそっくりそのまま載せているからで、いま昔のノートを引っ張り出しながら解釈している段階なのだ)。
 ここで言うフラれる女性がどういう女性なのかと言えば、真っ先に顔が浮かぶのは原節子ではなくてイングリッド=バーグマンだが、抽象論なので具体例には引き寄せずに抽象論のまま話すと、あまりにも強い女性美を備えあまりにも女性らしい女性でありすぎるために限りなく女性であることを失ってしまう存在、すなわち現実世界できわめて中性的である、女性すぎる女性ではないかと。そして、「ぼくが美しいと思う女性」の答えは、女性らしさを突き詰めるとそれは人間性に行き着かざるを得ないという前提がありつつも、こういう対象に出くわした時に「恋愛」の物差しを当てはめると、それは「あまりにも女性的なこと」への怖れを男性に抱かせてフラれてしまうような女性ではないのかと。フェミニストの言いそうなこととは正反対であるし、まったく訳が分からないという批判もあろうが、現実の結果がそうなのだから(ぼくの知りうる限りで、だが)、いかんとも動かしがたく、あるいはこれに対する違和感は恋愛という妄想がなせる業だと思うのだが、はたしてどうだろうか。
 そんな抽象論は別として、アンラッキーセブンさんに逆に質問すると、ふるよりも、フラれる方が女性は美しく見えるとぼくは思うのだが、それについてはどうかな。ここで言うフラれる女性とは、美貌だけどそれに飽き足らず、あれこれ手を出してはしっぺ返しを食い、人を喜ばせようと常々明るく振舞いながらも心の底で寂しさに堪えかね、相手に多大な愛を要求してしまうような、分をわきまえぬ太陽のごとき女性を指すのだけど、分をわきまえぬ女性はフラれるがゆえに美しさに磨きがかかり、分をわきまえる女性は恋愛が成就するがゆえにますます分におさまってしまう。ということで、「負け犬の遠吠え」という本の感想を書いたのにすぎないのかもしれん。
by gikyoudai | 2005-01-05 21:59 | 80年代

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