おとといの夜、友人が経営する赤坂の台湾マッサージ店をおよそ半年ぶりに訪ね、全身マッサージをしてもらう。
マッサージ嬢は来日三ヶ月、遼寧省遼陽市出身の19才。公務員の家庭の子で経済的にはまあまあ裕福な部類なのだろう。とは言え、かつてハルビンにいて、遼陽市という残留孤児が多いことで知られる田舎都市に立ち寄ったこともある身からすれば、まだあどけなさの残る顔立ちの良家の少女が一人で日本に来ることなど想像もつかなかった。
聞けば昨年夏の大学入試で失敗したので、浪人するぐらいなら日本の大学に進もうと思って日本行きを直決したらしい。中国での日本語学習歴はゼロ。とりたてて日本に関心があったわけでもなくて例の八月七日には声振り絞って日本サッカーチームをこきおろしたらしい。現在は店に住み込みで働きつつ日本語学校に通い、来年の大学入試を目指す。
「現在没有朋友(彼氏はいません)」
「ボーイフレンドを探す機会はないです。でも結婚も先の話だから欲しいとも思わない。でもサッカーの中田さんだったら今でも結婚するかなあ」
思えばぼくがハルビンにいた時も19歳や20歳というのは恋愛をする年齢だとは思われてなく、今ふうの彼女もこうした話題にははにかみがちになる。適当にチャチャを入れ、彼女にとって少なくとも嫌でない日本体験になってほしいと思ったりしつつ、うつらうつらする。