昼1時より池袋・永利で文学研究をしている友人二人と会う。多少酒を飲み、話していることが愉しくていつしか5時を過ぎ、早めの夕飯の客で混み始める頃になってようやく退散する。しとしと雨が降る一日。
卒業式の話題が出て、別れた後になって自分の卒業式の思い出が頭をよぎった。ぼくは中学も高校も大学も卒業式に出たことがなかった。
中学時代は「嫌われっ子」だった。いじめられるわけではないし、友人もそこそこいたのだが、一方で「学校中で一番嫌いなのはお前だ」などと多数の生徒や二三人の教師に言われたりもしたし、負けてなるものかと反抗的な態度を取ったりもした。ただ、鎌倉市立玉縄中学校というぼくの母校がどうこうでなしに、中学生、という中途半端でしかも無意味な身分がたまらなく嫌で、卒業などという大仰なことはしなくてよいだろう、などと考えた。
後に中学や小学校を出ていない人と大勢出会うことになり、その傲慢さを反省するようにもなるが、当時はそのようには考えなかった。
家族を名乗って学校に電話し、「病欠します」と言うと、大学受験生がよく利用する近くの公共施設で読書をした(高校卒業生と思われるべく大学受験の本を持つなどの用意周到さだった)。
この時読んだ本は太宰治の『津軽』で、太宰で最も好きな作品だが、当時は『逆行』だとか『ヴィヨンの妻』だとか、自意識をくすぶる初期作品を猛烈に好んでいたこともあり、物足らぬ感が残ったのをおぼえている。その意味でもまだ幼かったわけだが、中学時代が無意味だったとの思いは今日も失せてない。
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反国家分裂法成立。台湾問題は中国にとって少数民族問題とリンクしていて(政治・軍事的に)、今後数年経つと民族独立の問題が起きてくることが十分に考えられることもあって、日本で考えられている以上に中台関係が緊迫すると予測する意見にも一理ある。