賈樟柯(ジャージャンクー)監督の新作「世界」(2005・4月)を見る。カンヌなど国際舞台では中国の映画監督で最も評価が高いと言え、今やインディペンデント映画の第一人者である彼にとって、今回の作品は初の国内公開映画。そのためかなりの検閲にあった(半分書き直しとか)という話を聞いたが、彼らしく、また中国のアンダーグラウンド映画の香りをたっぷり含んだ作品に仕上がっている。おもしろいおもしろくない、は別にして、中国の劇場公開映画に限定すればここまで中国そのものに迫った映画は珍しいと思った。中国そのものに迫る、とは、ここでは、香港のものともまた一味違う、独特のとりとめのない悩みがよく表現されていることを言い、こういった心情に触れて共感することの多いぼくにとっては当然おもしろさはあった。
感想などはいずれの機会に述べるが、なぜ「世界の窓」(世界の建造物のミニチュアが集まった公園)を舞台に使ったか、なぜアニメを多用したか(みやすさだとは思わない)、などを考えながらみるとおもしろいかと思った。