雨が降る。
高校の頃、しょっちゅう学校をサボっていて、サボり仲間も何人かいた。「雨が降ると欠席する」と言われる奴がクラスにいた。これはいい、それならば雨の日を愉しめるし、学校にも行かなくていい。そんなふうに考えてぼくも雨の日は休み始め、それはテレビ製作会社に入っても続いた。
でも、自宅で仕事をするようになると、サボる、という発想が出づらくなる。会社で働いていたときは、一日八時間会社にいたとして、実際に働くのは五時間ぐらいで、残りの三時間は何もやってなかったが、それでも八時間働いた気になる。けれども、同じことを家でやると、たとえば、五時間仕事をしつつ三時間テレビをみたりすると「自分はなんて怠け者なんだ」などと思ってしまう。
それに、人と交わる機会が減ることも意識せねばならない。外に出なければ、見知らぬ人と会うこともないし、友もできない。
昨夜は神保町の「郷土料理 鐘楼」で編集者のWさんと会った。ずいぶん前から知っている人だが、食事などをするようになったのはごく最近で、ふだんぼくが付き合う人と違うノリを持っているのが新鮮でたのしい。
いいことも悪いこともあるが、出かけることは総じて愉しい。いかなる敵よりも自分と向き合うことの方が嫌になることがあるのを、今の生活は教えてくれる。
大雨らしいが、出かけよう、と思う。
テキト-にCDをかけている。今は「22才の別れ」と「なごり雪」と続いている。