せみを怖がる人がいる。マンションの壁に張り付いていて、前を通ると突然飛び始め、しかも体に触れてきたりするものだから、それで絶叫したりする。絶叫はしないが、ぼくもあまり好きでない。
山や公園だと、せみを怖がる人は滅多になく、木に張り付いたせみを好意的に眺めたりする人がマンションのせみを見ると途端に嫌がりだす。それはマンションの壁がせみの居場所にふさわしくないという意味で(そしてゴキブリに似てなくもない、という意味でも)至極もっともなことだとしても、マンションでしかせみを見たことがない人がいたとしたら、その人にとってせみはあるいは嫌いな虫の範疇に入るかもしれない。
日中関係の原稿を書きつつ、キーボードを打つのをやめて、夜明け前の空の色を眺めていると、ふと以上のことが浮かんだので、書きとどめておいた。鎌倉に住んでいた98年ごろにしばしば考えていたことだったように記憶している。
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昨日(9月1日)発売の農業関連雑誌「地上」(家の光)10月号で中国郊外農村の変化に関するレポートを執筆しました。書店で売られる雑誌ではないのですが、機会がございましたらご一読ください。