今、上野の作業場にいるのだが、まもなく出ようと思う。最近ここはゴキブリの巣窟と化しており、まもなく頭上にあらわれるのではないかとビクビクしているからだ。10月に入ってゴキブリを気にしなければならないとは意外ではあるが。
九州で生まれ、しかも小さい頃住んでいた家に1日に最低でも5匹は大型のゴキブリがあらわれる環境に育ったにも関わらず、ゴキブリは苦手だ。なぜだかわからぬが、服の中に入っていたり、体に付着していてもあまり気にならないのだが、目の前にいたりするのがたまらなく嫌だ。あまりに嫌いなためにいつしかセミやカブトムシ、クワガタも苦手になってしまった。
話は変わるが、高校一年の時、ぼくはぼくやその仲間たちを「ゴキブリ集団」と呼んでいたことがある(残念ながら広まらなかった)。黒い学ランを着て、むさっ苦しく、汗臭く、図体だけはでかくて、現れなければいいものをわざわざ嫌われるために現れるところなんかはまさにぼくたちはゴキブリで、しかも生きることの意味なんかをしばしば考えていたから、余計にそう思えた。
ゴキブリに関する、かかる特徴はぼくの学生時代に不当に忌み嫌われたことと見事なまでに一致し、そのように考えると、ゴキブリを嫌がることの中に現代人としての病理があるのかもしれないが、嫌がることを分析するのは容易ではない。認識を改めたからと言って嫌いにならなくなることはむしろ少ないからだ。
本当はもう少し書きたいが、そろそろ出そうなので、このへんで。