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> 必ずしも中国は特別でない
先日、西安の西北大学での文化祭で、日本人留学生が行ったハレンチな寸劇に中国人学生が謝罪を求めて抗議デモを展開、学生宿舎に乱入した中国人学生に殴られて男女の日本人留学生がけがをした。
問題の寸劇は十月二九日、西北大学外国語学院で行われた第三回外国語文化祭で、日本人教師と三名の日本人留学生が演じた。性的な表現が含まれ下品なものとして、その場にいた同大学の教官や学生から不満の声が上がり、直ちにその寸劇は取りやめとなった。三〇日午後になって、「パフォーマンスに強い不満を感じた」中国人学生が学内に壁新聞を張り出し、日本人学生に謝罪を要求。西北大学の1000人に上る学生が留学生宿舎に殺到、そのうち数百人が同日夕方から街頭デモを行った。
一部香港紙で、寸劇の際に「これが中国人だ」と書いた札をかけていた、と報じて、中国蔑視に結びつけた報じ方をしているが、寸劇を演じた留学生たちは、背中に「日本」「中国」、ハートマークを書いた札をかけただけで中国人を侮辱する意図はなかったとしている。
私は一部香港紙の報道が正しいのかどうか知らないのだが、その後の当人たちの反応に関するニュースを読むかぎり、前衛的行動とか民族的主張などとはまるで無関係な、たんなる軽率な行動に過ぎなかったのだと断定せざるを得ない。そして、かりに中国人を侮辱する意図がなかったにせよ、ハレンチな寸劇がこれほどの大きな騒ぎに発展することだけは十分予測がつく。と言うのも、私自身、八十年代のある時期に滞在した上海の某大学で、「中国人の女子大生に無理やり迫った」などとまるで身におぼえのない噂を立てられて、一部の学生が私を糾弾する集会を開いた経験があるからだ。今回怪我をした日本人留学生は寸劇とはまるで関わりがなかったそうだが、こういう事態に陥った時には問答無用になるとしか言いようがない。デモに参加した一人一人で言えば、おそらく頭ごなしに反日を決め込むような人がほとんどいなくても、集団になった場合、日本人だからという理由で抗議の嵐にさらされるのはいかんともしようがなくなる。ただ、私のその時の体験で言えば、数十人の中国人学生に囲まれて、顔を真っ赤にされてさんざん罵倒を浴びせられたが、暴力を振るわれることはなかった。かりにあの時、糾弾集会に赴かなければ、いかなる事態に発展したかはわからない。だから、いかなる時も話せばわかると思うことにしている。
それにしても言いたいのは、寸劇一つでここまで大きな抗議デモに発展したことが日本人からすれば想像つきにくいにせよ、寸劇そのものが現地の関係者たちの大きな反感を買うことだけは、中国であろうが日本であろうが変わらないということだ。このようなニュースがあがってくるのは、べつに中国の国情が日本と異なるからではなくて、日本の中の常識があやふやになっているからではないかと、同様のニュースを聞くたびにつねづね思う。中国人と酒を飲んだりすると結構下ネタが出てきたりして、「意外とやつらもスケベなのだな」などと思った人もいるだろう。中国人だとて人間であり、好みなどについて大きな差があるはずもない。だが、気の合う者どうしの飲み会というざっくばらんな場と大学主催の文化祭では、場の性質が違いすぎる。そこのところが読み取れなかったのは、たとえば電車の吊り広告や民放のゴールデンタイムの放送にしても、あまりに下品で低俗な内容のものが平然と垂れ流されるような、日本における“公”の喪失なのではないか。全部が全部そうだというわけではむろんないが、ごく少数ながら、たとえば今回の寸劇の問題が起き、しかも、その騒動に巻き込まれるのは演じた当人たちだけでないのだから、他人事とも言えまい。中国だからどうのこうのという出来事ではなく、日本という場があやふやなかぎり、今後も同様な出来事が繰り返されるのではないかと思う。(2003年11月)
by gikyoudai | 2004-10-03 10:45 | 中国

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