旅行者にとって函館での移動は市電が便利。函館駅を中心に西は函館山・元町教会群・赤レンガ倉庫群にほど近い所を走り、東は五稜郭や湯の川温泉まで行けるので、市電だけで一通り主なスポットを回ることができる。
6、70年代から80年代にかけて日本の多くの地方で市電がなくなったが、函館で市電が健在なことは、近代史を味わう観光の可能性を持つこの街にとってプラス要素だと言える。19世紀の面影をのこす建築群なども30年ほど前は朽ち果てていて、建て替えが検討されたが、ここ十数年ほどでその魅力が再認識され、古い建築をいかした街づくりが進められている。そのことも含めて時代の波に完全迎合しなったことが数多くの財産をのこしたのだと言える。
函館といえば海産物だが、海産物の輸出を背景に日本有数の近代都市であったことはもっと知られてよく、今後は近代の遺産を現代生活にいかす街としてさらに魅力あふれる存在になっていく期待が持てる。それがより充実していくために考えてみてもよさそうなことを次回に挙げてみたい。