798の通称「便所隣りの食堂」(
写真をクリックするとよく見えます)。行くたびに小じゃれたみやげ物ショップのような画廊が増えてくるように思われる798アート街ですが、新作が売れやすいこの時期になぜか長らくの休作中である徐一暉、昨年に8年ぶりにアート界に舞い戻った張東たちが通うようになりだしたこともあって、798にも昔のアート村の雰囲気が戻りつつあります。彼らは最近毎晩のようにここで明け方近くまで酒宴を開くそうで、「食べ物の量が多いこと」を除くと、かつてによく似た光景です。ここに集う者の多くがぼくと同世代の画家で、この日は普段は顔を見せない王慶松(ワンチンソン)、阿昌(何雲昌)もいて、盛り上がりました。
会って何を話すかと言えば、これは昔からそうですが、他愛もない話ばかりです。
「北京オリンピック中、出稼ぎ労働者は県以上の政府の許可証を持っていなければ追い出されるとの噂が出てるね」
「政府は否定してるが、きっとそういう動きがあるのだろう」
こういう話題が出ると、徐一暉が話の中心になります。
「だとしたら出稼ぎ労働者はオリンピックのチケットを買えばいいのではないか。オリンピックを見るんだ、と言えば、誰も追い出すこともできまいだろ」
けだるい、と言えばその通りですが、そのけだるさが中国現代アートを生み出した何者かであるのではないか、などと思ったりしました。